2010/12/08

[書評]カニは横に歩く 自立障害者たちの半世紀




70年代から現在にいたる障害者運動における、CP(脳性マヒ)障害者と介助者の歩んできた道のりの理想と現実、闘争と内省、ぶっちゃけこれだけのリアルを丹念に描き出した書物は過分にして知らずの名著。



兵庫青い芝を出発点に、それぞれの道を歩んでいく様々な立場の人たちの証言の悲喜こもごもは、障害者運動に関わった人なら必ずぶつかり感じてきたことを余
すことなく語っているので、「わかるわかる!」「あ〜これ、あの人みたいだな〜」と膝を打ってニヤリとすることもしばしば。

これから障害者問題を知りたいと言う人にも、変な学術書とか堅苦しい本を読むより、とにかくコレを読んだらと全面的に推薦できる。色々な障害者運動の現場で発行されている雑誌や会報も、現場で渦巻く切実な問題や感情をこのようにリアルには書き出せないのが現実。



作者は大学時代から介助者として関わりつつ、フリーのノンフィクションライターとして取材を続け長年かけて纏め上げた書物なので現場を知る人にも一般の読者にも面白く読めると思う。



人と人との出会いの場における甘酸っぱさと苦さで胸がつまるよ。

0 件のコメント:

コメントを投稿